どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株価の割安性を調べることは中長期的に株式を保有する際に大事なことですよね。
一般にPERが株価の割安性を調べる指標として有名ですが、今回ご紹介する指標はPCFR(株価キャッシュフロー倍率)というもの。
この記事では
- PCFRの意味
- PERとの違い
- 活用方法
について解説しました。あまり知られていない割安度指標なのでぜひご参考ください。
なお、今回この記事を作成するにあたってこちらの記事を参考にしました。
外部リンク:株価キャッシュフロー倍率(Price Cash Flow Ratio / PCFR) / 大和証券投資信託委託株式会社
PCFRは本業の収益力から見た株価の割安度を教えてくれる
PCFRとはPrice Cash Flow Ratioの略で、株価キャッシュフロー倍率と言います。
計算式は、
PCFR(倍)=株価÷1株あたりキャッシュフロー
となっています。
ここで用いられている「1株あたりキャッシュフロー」は営業キャッシュフローを発行済み株式数で割って計算したものを言います。
営業キャッシュフローはその企業の本業に関するお金の流入出を教えてくれるものなので、PCFRも営業キャッシュフローに基づいた指標と考えられます。
また、本業に関するお金の出入りはプラスにならなければいけませんので、PCFRの計算式の意味は
株価を本業利益で割っている
ということになります。
すなわち、PCFRを簡単に解釈するならば「株価がその企業の本業利益の何倍まで買われているのかを教えてくれる割安指標」ということですね。
一般的にPCFRが高ければ割高、低ければ割安だと解釈できます。
ここで気になるのは「じゃぁ何倍までなら割安と考えても良いの?」ということですよね。
結論から言うと「何倍までという基準はなく、同業他社と比較して割安かどうか判断するべき」だと考えられます。
前述のようにPCFRは営業キャッシュフローを利用して算出しています。
キャッシュフローの計算では
- 税金差し引き(マイナス要素)
- 減価償却費用を加算(プラス要素)
という過程も含めて行っているので、PCFRもここに大きな意義が出てくるわけです。
ちなみに減価償却とは「固定資産の経年による価値減少分を計上させること」を言います。
減価償却はキャッシュフローに加算されるものなので、同じ業種内でも
- A企業は利益は100で減価償却が10
- B企業は利益は100で減価償却が30
となればA企業とB企業のPCFRを比較した場合、分母が大きいB企業のほうが割安だねと考えられます。
同様に、その企業が所属している業種の平均PCFRと比較してあげることで相対的な割安度を知ることができるんです。
市場全体と比較する場合もあるようですが、個人的には業種内での比較をすれば十分ではないかなと感じます。
PCFRのポイントは
- その企業の本業利益に対してどれくらいまで買われているかがわかる
- 本業の利益率や減価償却は業種によって異なる傾向がある
- 同業種内でも企業によって減価償却の具合も異なる
- PCFRはキャッシュフローという性質上、減価償却などを含めた比較ができる
- PCFRでは業種間の水準としてその企業が割安かどうかを調べる
ということなので覚えておきましょう。
PCFRとPERの違いは手持ちのお金以外も含めているかどうか
株の世界で割安度と言えばPER(株価収益率)が有名です。
PER=株価÷1株あたり純利益
なので、ここには売掛金などまだ手元にはきていないお金まで含まれて算出されています。
しかし、PCFRでは営業キャッシュフローというものを利用して算出しているんでしたよね。
営業キャッシュフローは
- キャッシュフロー計算書で記載されている
- キャッシュフロー計算書では実際に手元にあるお金に対して記載
という特徴があるので、PCFRも手元にあるお金で算出されているというメリットがあるんです。
また、キャッシュフローには減価償却費が加算されますので、設備投資を多く行えば減価償却費が増えた分PCFRは低下します。
設備投資を多く行う企業は将来の業績増加の期待が高まりますので、PERでは見えてこない将来への期待感を測ることも可能です。
この企業は利益が低いんだけど、実は将来への設備投資を積極的に行っているのでPCFRは割安というケースもあります。
PCFRはPERやPBRと併用するのが基本
PCFRはPERにないメリットもありますが、割安度を調べるための他の指標と組み合わせるのが一般的です。
株の世界で割安度を調べるためにはやはり
- PER:株価収益率
- PBR:株価純資産倍率
が有名でしょう。PCFRはこれらの補完的な役割と考えるのが好ましいですね。
設備投資などは長期的に効いてくるものですし、PERやPBRもだんだんと価値が見直されることを期待して割安度を調べている側面があります。
PERやPBRで割安度を測りつつ、ROEやPCFRなどで補完していく銘柄選択がおすすめです。
なお、将来の投資をあまりに多く行っている場合は逆に利益を蝕む原因にもなり得ます。PCFRでは
- 他社に比べてどれくらい投資を行っているか
- 投資を行う理由や背景はどんなものか
- PCFR以外の指標や、業績推移は堅調か
といったことにも気を配るのを忘れないようにしましょう。
個別、業種別PCFRの調べ方
PCFRでファンダメンタルズ分析を行うにあたって必要なのは
- 個別企業のPCFR
- 業種別PCFR
のふたつです。まず個別企業のPCFRですが、これは証券会社のアプリで調べられます。
掲載していない証券会社もありそうですが、楽天証券であればこんな感じで指標欄に載っています。
楽天証券は色々な指標をずらっと一覧で載せてくれているので非常におすすめです。まだ口座を持っていない方はぜひ口座開設してみてはいかがでしょうか。
次に業種別のPCFRですが、資料として提供してくれているサイトはなさそうなのでこれは自分で参考値を算出する必要があります。
考え方はいくつかあって、
- 所属業種の全市場における時価総額上位5~10銘柄
- 所属業種かつ所属市場の時価総額上位5~10銘柄
などで調べて平均値をとってくれば良いでしょう。
私がPCFRを考える際には、全市場の時価総額上位5銘柄を調べて平均値を取っています。
ちなみに業種別時価総額ランキングは
外部参照リンク:時価総額ランキング【株式ランキング】 – みんなの株式 (みんかぶ)
で簡単にわかります。
全部で5+1銘柄のPCFRを調べて、平均と比較してあげるだけなのでそこまで難しいわけではないですね。
まとめ
いかがでしたか?今回はPERと違った角度から割安度を調べるPCFRについて解説しました。
キャッシュフローを利用して算出することでPERとは違ったメリットがあるのでぜひ覚えておきましょう。
キャッシュフロー計算書についてはキャッシュフロー計算書とは?どこを見れば良いのかだけ簡単にまとめました!で解説しているのでこちらもぜひご参考ください。
その他の割安性を測る指標については株の割安性指標まとめ!特徴を知って最適なものを選択しよう!でまとめています。それではまた!