株価が上がる前兆チャートとはどのような状況でしょうか。個人的に思い浮かぶのは
- 買い勢力が勝っている
- 売り圧力が出尽くし
- 売る人が少なく上がりやすい
などそういったイメージです。こういった状況をチャート上の様々な情報から感じ取ることが大事だと考えていて、一定のパターンみたいなものもあると思います。
そこでこの記事では株価が上がる前兆だと言われるチャートをカテゴリー別に集め、それぞれに対する簡単な解説を付け加えてみました。
テクニカル分析はファンダメンタルズ分析と違いパターン化しやすいメリットがあります。そういったメリットを生かすためにも株価が上がる前兆だと言われる代表的パターンは押さえておきたいですね。
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株価が上がる前兆チャート10選
では早速ですが株価が上がる前兆チャートを紹介していきます。今回は
- チャート形状
- ローソク足
- 株価ヨコヨコ
- 出来高
の4つのカテゴリーから選出してみました。以下、カテゴリー別に述べていきます。
チャート形状
まずはチャート形状として代表的なものですが、ここでは
- ダブルボトム
- 逆三尊
- カップウィズハンドル
- なべ底
の4つをご紹介します。これらは全て
- 一定期間を入念に使って売り圧力をこなす
- 売り圧力を吸収するために必要な流れを踏んだ結果として出来上がることが多い
といったチャートパターンです。例えばなべ底やカップウィズハンドルと呼ばれるものは下向き円形に株価が推移する中で
- 徐々に売る人が少なくなる
- 極端に売り圧力が減ると横ばい推移になる(底を作る)
- 買い圧力が勝ってくると緩やかに上がり、どこかで急騰
という流れになっています。実際のチャート例としては・・・
このようなもので、ローソク足を単体で見ていくと底にくるほど小さく日中値動きや出来高が減っていることが特徴です。
これに対してダブルボトムや逆三尊と呼ばれるものは底が円形ではなくカクカクとしているのが特徴で、安値のつけ方に注目したチャートパターンと言えるでしょう。
ダブルボトムであれば一度つけた大きな安値をあえて少し割り込んでからすぐ切り返す、逆三尊であれば安値切り上げで買い転換を考えるなど安値を基点に考えています。どこで株価が切り返していて前回安値より高いのかはダウ理論など値動きやトレンドの原則論としても重要です。
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ローソク足編
ローソク足はそれ単体だけではあまり意味をなさないものですが、流れを汲んで解釈すると途端に株価が上がる前兆チャートとなります。例えば・・・
上記のような組み合わせは大陽線の包み足と呼ばれるものです。直近の陰線を全て包み込むように前日高値を抜いてくるローソク足パターンで、「売りが弱って買い圧力が強まり始めたことを示す」と言われています。上記の例でも大陽線で包み足を出してから間もなく下落傾向が収まり、やがて株価が上がる流れとなっていますね。
その他にも急落後の長い下ひげは「たくり線」と呼ばれる底打ちローソク足パターンです。
ギャップダウンから日中値動きでさらに下げたものの、強烈な切り返しがあったことを示すローソク足パターンと言えるでしょう。売りの出尽くしを示唆すると考えられ、窓開けが3連続したあとに出ると高い確率で株価が上がるので個人的にも信頼している前兆シグナルですね。似たようなパターンには・・・
この逆襲線と呼ばれるものがあります。こちらはギャップダウンしたものの寄り付きからの強烈な切り返しが出たケースで、たくり線と同じような考え方が可能です。これらは私のYouTubeチャンネルにて詳しく解説していますのでご参考ください。
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株価保ち合いのヨコヨコ編
株価が上がる前兆チャートの中には方向感を伴わないヨコヨコ推移もあります。株価が一定の値を保つというのは買い圧力と売り圧力が拮抗しているからこそ起こるものですが、これは株価を上げるために力を蓄えていると取れるケースがあるんです。
通常ならそこまで長い期間にわたってヨコヨコと保ち合うことはあまりないと感じますが、中には数か月以上も株価が一定値幅を保つということもあります。日中値動きを見ていても機械的に株価が張り付けられている流れなどは普通にあって、裏で人為的な力が働いているのかと疑がってしまいますね。
こういったヨコヨコを怪しむ意識は短期売買に必要で、視覚的に捉えるのであればボリンジャーバンドのスクイーズは最適なチャートだと思います。
ボリンジャーバンドは統計学的に株価がどこまで変動する確率が高いかを教えてくれるものですが、方向感がなくなってくると全ての線が収束し始めます。これをスクイーズと呼ぶわけですが、収束も永遠に続くわけではありません。やがて上か下どちらかに株価が進み始め、例えばスクイーズから大陽線が出たケースは順張りタイミングだと言われていますね。
また、株価のヨコヨコは特に強い材料・思惑・好業績持ち銘柄で力を発揮しやすく「株価上昇後のヨコヨコ」はリストアップしておくと良いでしょう。例えば・・・
何かしらの材料で勢いよく株価を吹き上げたあとヨコヨコ推移となった場合は、さらなる株価上昇の前兆チャートになります。初動にうまく乗れなかったケースではこういった株価保ち合い期間を活用していくのもひとつの考え方です。
出来高編
では最後に出来高関連からもひとつだけ株価が上がる前兆チャートをご紹介しておきます。今回ご紹介するのは「底値圏での出来高増加傾向」というもので、いわゆるセリングクライマックスというやつですね。セリングクライマックスというのは売りの最終局面という意味合いで使われる言葉で、例えば・・・
大きく急落した後に出来高急増のまま株価が下がらない状況は売りが出きったと判断されます。ただし株価反発が短期的に終わってしまうケースも珍しくないのですが、いずれにせよセリクラで作った底値は割らない流れになりやすいですね。したがって
- 買い増し(ナンピン)する場合は直近底値を限度とする
- 底を割らない限りはどんなに株価が動こうとホールド
- それ以下の株価になったら損切り
といった考え方ができます。セリクラは売りが一過性に出尽くしたことで買う人の割合が多くなる現象であり、「出来高を大きく伴って形成した底値が見えている」ということからも買い向かいやすいと考えています。
ちなみに出来高には先見性というものがあって、これは「将来的な株価の動きに先行して出来高に変化が表れる」という考え方です。これをふまえると株価下落がある程度続いて出来高が細ったあと、日柄調整を経て出来高が急増してきたタイミングも買い場と考えられるでしょう。出来高が増えたところで底を作り、将来的な株価上昇を出来高が教えてくれているというわけです。
まとめ
今回は株価が上がる前兆チャート10選として
- ダブルボトム
- 逆三尊
- カップウィズハンドル
- なべ底
- 大陽線の包み足
- たくり線
- 逆襲線
- ボリンジャーバンドのスクイーズ
- 強材料持ちの株価上昇後ヨコヨコ
- 底値圏での出来高急増(セリングクライマックス)
といったものをご紹介しました。どれもテクニカル分析の類なので確実にそうなるわけではありませんが、株価が上がったものを振り返るとこういったケースに当てはまっていたということも多いです。ご自身でも納得できるパターンはぜひ取り入れていただき、ひとつの売買スキームのヒントとしていきましょう。
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