市況株とはどのようなものかご存じでしょうか。市況株とは素材価格や資源価格に連動した値動きをする株のことで、景気や社会的な需要により大きく価格が変動することが特徴です。
実はこの市況株を使って短期トレードをする戦略はかなり前から当たり前に行われているもので、個人的には非常に普遍的な分野だと感じます。言ってしまえば一生使える短期トレードのテリトリーであり株の売買としては精通しておきたい分野です。そこで今回は
- 市況株とはどのようなものか
- 短期トレードの基本戦略
- 関連セクターや見るべき銘柄
- おすすめ業種
などをまとめてみました。言葉自体あまり聞いたことがなかったという方はぜひこれを機会に調べてみてはいかがでしょうか。
市況株とは
市況株とは具体的に言うと
- 素材株:繊維、パルプ紙、ガラス土石、鉄鋼、非鉄、金属
- 資源株:石油、鉱業、卸売り(資源への投資など)
- 金融株:銀行、保険、証券、その他金融(リースなど)
などで構成される銘柄群のことです。市況というのは市場の状況を総称していますが、上記を見ると要は私たちの身の回りにある色々な有限物質や物価などに影響を及ぼすものが多いことがわかります。
特に市況株として有名かつおすすめな主要関連セクターは石油・銀行・非鉄金属あたりではないでしょうか。実際にこれらは
- 石油および鉱業:原油価格
- 銀行:米国長期金利
- 非鉄金属:金・銅・アルミ
などから素直に影響されやすいので、トレンドが出た際には売買しやすいと思います。
市況株短期トレードの基本戦略
売買しやすい市況株があると述べましたが、売買の基本戦略としては
- デイトレード:前日に大きく値動きがあったセクターを狙う
- スイングトレード:日足にトレンドが出てきたセクターを狙う
- 数か月程度の中期保有:日足に強いトレンドが出てきたセクターを狙う
が主なものになります。なぜあまり長期的な保有をしないのかと言いますと、市況価格があまりに大きく動くと私たちの生活に大きく影響してしまうからです。例えば原油価格の高騰があまりに続くと
- ガソリン価格の上昇
- 代替する天然ガス価格の上昇
- 輸送コストおよび食材など輸送物資の上昇
と影響が波及してしまう可能性があるわけですよね。OPECもこういった世界的な影響を加味して話し合いをするでしょうし、色々なタイミングで関連ニュースも飛び込みやすくなるでしょう。株価もそれに影響を受けやすくなるので気をつけなければならないということです。保有期間が長いほど社会情勢やファンダメンタル的な影響が大きくなるので流れを読むために必要な知識も変わってきます。
ちなみに先ほど石油・銀行・非鉄金属は素直な反応でおすすめだと言いましたが、短期売買をする上で天邪鬼な値動きが少ないという特徴は非常に大事ですね。
また、原油価格や金利は見るべき銘柄がかなり限られてきますし、非鉄金属も金・銅・アルミそれぞれに連動しやすい銘柄群を一回調べてしまえば対応しやすいでしょう。ファンダ的にも車載電池などの原材料として需要が高まっているので変動率も大きく楽しいです。
見るべき市況株とは
市況株は基本的にそれぞれのセクターで時価総額順位が高い銘柄を注視します。市況価格が上がることでより恩恵を受けやすいのはシェアが大きい会社ですし、そもそも関連株に低時価総額が少ないという背景もありますね。
それぞれのセクターにおける市況株の一覧は
このようになっています。上記は私が普段から見ていた銘柄を抜粋したものもありますが、以下の参考文献に掲載されていたリストの方がより細かくまとめられていたので引用させていただきました。書籍自体がかなり勉強になりますので興味がある方はぜひ読んでみてください。
参考文献にはこの記事には書かれていない考え方がたくさん掲載されていて、市況株の短期トレードがどういうものか把握するための大きな手助けとなるはずです。
例えば市況株の選定基準として「TOPIXに対して強いか弱いか」を挙げていて、この指標に対TOPIX業種指数チャートを用いてるようです。このチャートは機関投資家であれば当たり前のようにチェックしているものだそうですが、個人投資家はあまり使っている人はいないとのこと。
市況株はこのチャートが右肩上がりのセクターは買い、右肩下がりのセクターは売りの短期トレードで勝負します。ここからどのようにして売買するのか具体的な内容はぜひ書籍で学んでみてください。
参考文献:個人投資家のための市況株短期トレード
注意点
市況株の短期トレードをする際の注意点としては、必ず自分で市況の値動きを見て「話題になる前に」乗ることです。なぜ話題になる前に乗るのかというと、市況株に先回りして乗っていた人はニュースで売るからですね。
例えば銅価格は2021年5月に10年ぶりの高値をつけました。このニュースは色々なサイトで報じられましたが、関連株である住友鉱山はその後どういった値動きをしたのか見てみましょう。
図の赤丸のあたりで銅価格ニュースが多く出たのですが、株価はその後下がっていることがわかりますね。しかし、その前段階の流れを見ると銅価格の上昇に伴って住友鉱山にもトレンドが出ていることも確かです。
市況株の短期トレードで取りたいのはこの上昇波形ですから、やはり市況状況が大きく報道される前であれば旨味はあると考えられるでしょう。市況株の短期トレードはこういった意識がとても大切ですので、必ずニュースではなく自分から情報を取りにいくべきです。
市況株短期トレードまとめ
今回は市況株とはどのようなものか、短期トレードする場合の関連銘柄リストや関連書籍に注意点もお伝えしました。市況株とは素材や資源価格に連動する株で短期トレードをする戦略であり、ニュースが出る前に乗っておくと旨味が大きいです。
また、市況は未来永劫にわたってあり続けるものなので一生モノの知識ですね。特に金利や原油価格などは素直に関連銘柄を動かすことも多いので日常的にチェックしておくと良いでしょう。保有期間が長くなるほどファンダ要素が強くなるので流れを読むことが難しくなりますが、短期トレードでちょこちょこ値幅を取るのであればそこまで難しくないとは感じます。
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