今回はこんな株は買ったら下がる時期だよという話をしていきます。個人投資家のよくある悩みとしまして「私が買うとなぜか下げ続けちゃうんです」というものがあります。
これは理由がありまして今回は経験談からわかるありがちな理由を述べていきましょう。この経験を知ることで
- 何で私は株が下げる時期に買ってしまうんだろう
- 下がり続ける株の特徴ってどういうものなんだろう
といったことが少し分かっていただけるのではないしょうか。
株を買ったら下がる時期とは
今回お伝えしたいのは
- セクター情勢が最悪
- 月次進捗が悪い
- 決算の度に売られる
- 需給状況が悪い
の4つです。ではひとつずつ述べていきます。
セクター情勢が最悪
株式市場では上場企業が33の業種に分けられていて、それぞれにトレンドがあります。それぞれ一つ一つが小さな市場のような感じで考えられていて、それぞれに良い時期と悪い時期というものがあるわけです。
業界の事情によっては悪い時期がずっと続くこともあり、そういった時期に株を買っても下がる時期なので勝てません。
具体例を見てみましょう。例えば2017年から2019年の銀行セクターはずっと下げ続けていましたね。
なぜこんなに株価がずっと下げ続けちゃったのかと言いますと3つ理由があります。まず大きなものとして「国内の低金利政策で貸出利ザヤが弱体化+今後もずっと続いていくと予想されていた」ということが挙げられるでしょう。
そしてもう2つ目は「キャッシュレス文化が浸透してしまった」というもの。これは為替業務の弱体化やATMの需要低下(手数料収益低下)につながると捉えられました。
最後に「仮想通貨やブロックチェーン技術の広がり」によって銀行そのものがいらないんといった考え方が出てしまったことです。
簡単に言えばこういった3つの理由から収益低下や将来の先行き不安が出てしまい株価が下げ続けてしまったわけですね。こういった背景の中で銀行株を積極的に買う人は多くなく、買うにしても10年スパンで見た時の節目で値動きを見て買う必要があるんじゃないかなと思います。
銀行以外の例としては空運セクターもそうです。2020年コロナショック後の戻りが鈍く、これは空運セクターがコロナの影響を他職種より直撃している背景がありますよね。
その他にもコロナ関係で言うと小売りセクターもそうでしょう。2021年の11月以降にはオミクロン株の話が出てきてしまい、またコロナによって売り上げが落ちるんじゃないかという状況に変わってしまったわけです。やはりそういった状況で小売りを積極的に狙う人は少なく不人気になったのでしょう。
しかしその一方で電気機器セクターは半導体人気で同時期の小売りと比べはるかに強い値動きをしていました。こういう流れを見てもセクター事情に注目するというのは非常に大事なことです。
あんまり触られないセクターっていうのは買っても下がる時期なのであまり気楽には触らない方がいいと思います。先ほど述べたように長期目線で大きな節目を見て打診買いするのはまだマシだと思いますが、短期目線で気軽に・・・というのは避けたほうがいいでしょう。
月次進捗が悪い
月次発表というものを皆さんご存知でしょうか。これは企業が開示している月ごとの売上高や利益のことですね。例えばセリアの2021年の月次発表を見てみましょう。セリアはコロナ禍で非常に需要が高まったので2020年の業績が良かったわけです。
しかしその反動で2021年の既存店売上高はかなり前年同月比で下がっている状況でした。これを受けて株価は下がる時期に突入してしまいました。
所々で陽線や反発はあるものの、買って含み益が乗っても月次に反応して下がる時期が継続という流れだと思います。ちなみに私もこの時期に買ったら火傷してしまいました。
月次が弱いことは知ってたのですがなんか上がりそうなチャートだなと気楽に買ったら損をしました。やはり弱含む株の月次発表は重視しなければならず、特に既存店売上高が前年同月比で下がっている場合は要注意です。
ちなみに月次発表の確認方法ですが企業の適時開示やバフェットコードというサイトがおすすめですよ。
バフェットコードさんのトップページに月次タブがありますので、そちらを押してティッカーなどで見れば色々な銘柄の状況が効率的に把握可能です。
決算の度に売られる
月次発表と関連した・・・というかその延長線上にあるのが決算です。この決算の度に売られちゃう株も買ったら下がる時期にあると感じます。
決算売りあるあるとしては
- 業績低迷
- 成長鈍化懸念
- コンセンサス未達
などがありますが、決算の度にこういった話が出てきてしまうと非常にまずいですね。
例えば投資家から人気のある事業モデルとしてストック型事業があります。ストック型はある程度の有料会員を囲って定期的に月額収入をもらう事業モデルですが、このストック型の事業モデルは人気が高い反面「会員数の推移が悪いと非常に嫌気される」という特徴もあるのです。代表的な例としましてはぐるなびの2017年から2019年の売上比率があります。
2017年までは調子良かったものの徐々にストック型サービスの売上比率が下がって、最終的には63億円まで目減りしてしまいました。
この背景にはやはり2017年から有料会員数がピークアウトしているという背景があり、これを受けて株価の方もダダ下がりしたわけです。
このような時期に株を買ったら下がるのは当たり前ですので、月次と同じくらいストック型事業の会員数推移は大事だと思います。
ストック型事業以外の例としましては、本業の推移があまり良くないパターンもあるでしょう。代表例としては楽天の2017年度のEC事業があります。
楽天といえば楽天市場がメイン事業ですが2017年通期の営業利益は-3.8%の増益率でした。他の分野はプラスでインターネットサービスセグメント全体でみると営業利益+481.3%と非常に良い数字なのに本業がマイナスのため嫌気売りされました。
楽天の場合はこれほど下げるかという感じもありましたが、大きな収入源となりやすい事業に不透明感が漂っているとリスク回避の流れが出やすいのでしょう。こういった時期に株を買っても下がるので注意が必要です
ちなみにそれぞれの四半期決算は
- 第1Q:スタートダッシュ
- 第2Q:中間判定
- 第3Q:ゴール直前の進捗
- 第4Q:来期への期待
といった意味合いがあると考えていて、常に市場予想と比較されやすいでしょう。例えば通期で目標達成でも次の年の伸び率が1%にとどまっていれば成長鈍化懸念とが出てしまい、そこからの月次進捗が注目される流れになるでしょう。
最高益であってもこういった話は出てしまいますので、決算をきっかけに売られるかはこういった所を見ています。成長株ならなおさらハードルが上がってしまいがちで、市場が満足できる結果が出ているかというのはしっかり確認していきましょう。
需給状況が悪い
最後は需給状況です。やはり需給といえば信用取り組みが大事かなと思うのですが、例えば・・・
このように株価はずっと下がるが信用買い残は上がってくケースでは需給状況が滞るので要注意でしょう。株価が下がる中で信用買い残が上がっていくということはここで信用買いポジションを持った投資家達が含み損のままどんどん下に連れていかれちゃうということですよね。
これは信用取引の回転数低下にも繋がりますし、損切りの売りがさらに売りを呼ぶ展開にもなりかねません。ちなみに株価上昇の中で信用買い残が増えるのは問題ないでしょう。
損益状況も良くすぐ売らなければならない状況でもなければ回転売買も行えるからです。しかし、信用買い残が積み上がったままドーンと下がってしますと需給状況が悪化します。このように信用取り組みが悪いと株を買っても下がる時期になりやすいので注意が必要です。
また、需給状況を単純にチャートが弱いかで考えるのであれば「短期線に張りついたまま直線的に株価が下がる」といったパターンに要注意ですね。
このチャートで買ってしまうといつの間にか下まで連れて行かれてしまうので気をつけましょう。その他にも「定期的に中長期線で頭を抑えられる」といったパターンは要注意です。
反発しても頭を抑えられるだけでなく、出来高減少では株価上昇エネルギーが全然ない状況のため反発は見込みづらいと思います。株価がずっと下げ続けているチャートを見返すとこの2つの特徴が頻発している事が多いです。中長期線に頭を抑えられるかはなかなか先見しづらいところがありますが、短期線に関してはすぐわかることなので該当時期に株を買わない方が良いでしょう。
まとめ
今回は株を買っても下がる時期の特徴について述べました。やはりセクター事情でどこに資金が来ているかを掴み、月次や決算の進捗状況が良いものを調べることが大事です。
流れの悪い分野がはっきりしている場合は株を買っても下がる時期かなと考え、より強そうな時期に着目しましょう。また、株を買う際には信用取り組みやチャートの印象を加味しながら触っていきたいところです。
需給状況が悪いと、これまた株を買っても下がる時期に該当する可能性があるので十分に注意してください。
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